第2回 エバラ食品中国料理コンクール レポート第4号

出典:公益社団法人 日本中国料理協会
9月17日、エバラ食品工業㈱主催による「第2回中国料理コンクール」の決勝大会が、東京・新宿の東京調理師専門学校で開催された。
このコンクールは、中国料理に欠かせない「湯」にエバラ食品の製品を用い、独自のアイデアと自慢の技術を盛り込んで、新しい中国料理のメニューを開発し、製品の用途拡大につなげることを目的として開催するもの。
募集は、スープ部門と麺部門の2つに分けて行われ、全国から192点(スープ部門119点、麺部門73点)の応募があった。
この日は、予選審査を通過した各部門5名が決勝大会に臨み、技を競い合った。
作品は厳正に審査され、上位の受賞者に表彰状等が授与された。
表彰式後開かれたレセプションの会場には決勝作品の写真が飾られ、大会関係者と全力を出し切った選手たちが談笑する姿が見られた。

調理の様子

審査の様子

レセプション会場に展示された作品の写真

今回使用されたエバラ食品工業㈱の商品

エバラ食品工業㈱専務取締役
高井孝佳

緊張感あふれる真剣勝負に鳥肌が立った

決勝大会開催にあたり、昨年に引き続き、日本中国料理協会の皆様に多大なご尽力とご理解、ご協力を賜りましたことに心よりお礼申し上げます。また、本日ご多忙な中、畔蒜副会長様、青年部の皆様、事務局の皆様、お手伝いいただいた多数の皆様、本日会場をお貸しくださった東京調理師専門学校の皆様、誠にありがとうございました。
昨年の日中協様の発足30周年を機に中国料理コンクールの開催を提案させていただいてご快諾をいただき、昨年5月に第1回を開催させていただきました。
本年は昨年の172点を上回る192点の応募をいただきました。これは、日中協の皆様のご尽力の賜物でありますし、僭越ながら、日中協のメンバーの皆様の意識の高さ、活動の質の高さを裏付けるものと思っております。
弊社では、毎年6月に開催する株主総会後の株主懇話会、つまり株主の皆様に自社製品を使った料理を試食いただくという会を設けております。その席で、前回開催したコンクールの受賞メニューのレシピを拝借して再現し、日中協様、また本コンクールの紹介をさせていただきました。参加した株主様には大変なご好評をいただき、改めて受賞メニューの質の高さを感じることができました。
昨年のコンクールは5月の開催でしたので、開催直後の6月の株主総会、そして今年開いた株主総会と2年にわたり、ご紹介をさせていただきました。
さて、今回決勝に残られた皆様、誠におめでとうございます。また、本日は遠方から決勝に参加された方も多数いらっしゃると聞いております。重ねてお礼申し上げます。
私も勉強のために決勝競技の会場である厨房に入らせていただいて拝見しましたが、皆様が弊社の製品に向き合ってくださる姿や、時間の制約の中で格闘する姿を拝見して感動いたしました。まさに鳥肌が立つような、緊張感あふれる真剣勝負だと感じました。
これから順位の発表がありますが、優劣のつけがたい状況で、審査委員の皆様も苦慮されたのではないかと思っております。
今日参加している弊社の業務用部隊も昨年に引き続き、大変勉強になったと思っております。我々エバラ食品工業は皆様の卓越した技術、感性を下支えするような、言ってみれば、本当にお役に立つメーカーでありたいと常々思っております。
この機会を御縁として、今日の機会も含めて、今後も弊社の営業に対してご意見、ご指導を賜れば幸いでございます。
最後となりますが、日本中国料理協会様と東京調理師専門学校様のますますのご発展と本日ご協力、ご参加いただいた皆様のますますのご活躍とご健勝をご期待申し上げて、私どもからのご挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

決勝選手と大会関係者

コンクールの趣旨をしっかりと理解することが大事

本コンクールの趣旨は、「圓卓」のスポンサーであり、大事な賛助会員会社でありますエバラ食品様のスープや調味料を用い、その香り、旨味を生かすことです。
私は麺部門の審査をしたので、脇で見た感想ではありますが、スープ部門においては、その趣旨が理解されなかったのではないかと、感じたところです。
料理は食べてみなければわからず、写真とレシピだけで行う予選審査での見立てもまずかったと思います。
しかし、「青年調理士のための中国料理コンクール」に比べて選手の年齢層が高かったので、技術的には大変すぐれていました。
今回に引き続き、3回4回とコンクールが続けられますよう、エバラ食品様にはご協力をお願いしたく存じます。今日はありがとうございました。

日本中国料理協会 副会長
審査委員長 畔蒜俊光

麺部門金賞受賞の林さん。

スープ部門金賞受賞の若林さん

独創性がありアレンジがおもしろかった

エバラ食品工業㈱ 業務用営業企画室副室長 栗橋秀直 

今回は、和洋を融合するなど独創性があり、前回よりアレンジがおもしろいと思いました。ただ、野菜をメイン材料とするという条件があったためか、スープの枠から離れたところがありました。
料理をひとつひとつ独立して食べると美味しいのですが、粘度が強く感じられました。この点は実際に試食してわかったことで、レシピでは見えなかったところです。

スープの性格を素直に出して

日本中国料理協会副会長 李 國超

予選審査で、すっきりとしたのど越しのいいものを想像した作品が、実はとろみをつけたあんかけのような料理であったりすることが多かったですね。エバラ食品さんの製品を前面に出すにはスープを前提として考えたいものです。スープという性格を素直に出して、そこにアイデアを足していくという考え方でいってください。技術はよかったのですが、皆さん、見せ方を優先して考えすぎて、趣旨から離れてしまっています。まずエバラ食品さんの製品とわかるようにベースを作り、そこに副材料を足して味の複雑さを作るようにしてください。

視点を変えるともっとよくなる

日本中国料理協会 副会長 近藤紳二

考えすぎて、本来のスープから離脱している作品が多かったですね。和洋と融合するアイデアはよいのですが、走りすぎて、本来の中国料理のよさがなくなっています。中華の基本的な技術の上に和洋をもってくるような形にしたいものです。
エバラ食品さんの製品を活用するというひとつのくくりの中ではがんばっていますが、視点を変えるともっといいものが出てくると思います。

器にふさわしい仕上がりを期待したい

日本中国料理協会 参与 前調理技術審査・技能検定地方試験委員 橋本暁一

スープというイメージから離れている作品が見られました。とろみの強いものは中国料理ではスープとは言いません。
また、写真と出来あがりがまったく違うものがあり、審査するのは大変でした。
いい食材を使っているし、アイデアもいいものがいっぱいありますが、仕上がりがついてこないですね。もうひとつは、器にこりすぎている、ということ。こだわりすぎて、料理の方がついていっていない作品が見られました。

スープと具材をうまく合体させて、相乗効果を

日本中国料理協会 専務理事 菰田欣也

野菜をメイン材料とした料理という条件だったので、やさしい味が多かったのですが、とろみが強くて、スープのイメージから離れていると感じました。
スープは、日本人にとってはみそ汁のようなもので、飲んでほっとする料理のはずです。ところが、いろいろな味が強く入っていたり、とろみが強かったりして、本来のスープとは違うものになっていました。汁の量が多い料理はバリエーションをつけにくいとは思いますが、スープと具材を合体させて、相乗効果を生むと考えるとよいと思います。水分と具材の割合がアンバランスなものも多くありました。今一度、スープの本来の意味に戻って考えていただきたいと思います。

多様性をもってスープを活かしていただいた

エバラ食品工業(株) テクニカルセンター長 二反田保三

いずれの作品も、私どもの製品のいいところを引き出して、素晴らしいメニューを創り出していただいていて、感動しました。
製品はベーシックながらスープですので、それを生かすも殺すも腕次第だと思いますが、べーシックなものあり、ユニークなものあり、多様性をもってお使いいただきました。
審査をしていて、中国料理は進化していると感じました。皆さんいろいろな視点からとらえてそれを最終的に作品にエッセンスとして生かしていて、とても刺激になりました。

スープを活かした料理に軍配が上がる

日本中国料理協会 副会長 畔蒜俊光

麺部門は相対的によかったと思います。麺打ちに創造性の見られた麺料理もありました。ただ、麺打ち大会なら技術力に高い得点をあげられたと思いますが、エバラ食品さんのスープをよく生かした麺料理のほうに軍配が上がります。
金賞作品はよく考えており、スープと麺がよくマッチしていました。予選審査の時、麺部門ではなくスープ部門に提出すればよかったのではないかと思われる作品があり、それは惜しまれます。

さらなる勉強で、食材の特性を生かした調理を

日本中国料理協会 常務理事 槇田耕造

本コンクールの趣旨を考えると、スープをいかに上手に使うかが問われます。スープの扱い方によって味に差が出るが、それは目に見えないという点がこのコンクールのむずかしさだと思います。
実用性があるという作品は何点かありましたが、一方、勉強がさらに必要と思われる作品も数点ありました。食材の特性を考えた調理の工夫がなされていたら、有望だと思う作品です。形だけにこだわって、舌触りなどまでちゃんと計算できているかというと、疑問の残るものもありました。
舌触りやダシの出方、材料の相性などを考慮して調理できるかどうかは、長年仕事をしている料理人でも課題です。いろいろなものを食べる経験を積み重ねて、切磋琢磨してください。

王道を行くものに落ち着いた

日本中国料理協会 常務理事 大城康雄

アイデアをこらしたものもあれば王道を行くものがあり、それぞれ味を工夫しています。スープとの兼ね合いもよく考えていますが、一口食べた後にひき続いて全部食べられるかと問われると、ノーサンキューになるものもありました。コクが強すぎると、最後まで食べられないし、スープも飲み干せません。
5品を食べてみて、結局ひねったものよりも王道を行ったものに落ち着きました。見た目のイメージだけでなく、最後まで食べられるところに着地させるのがよいと思います。

食べ手が最後まで楽しめるスープを

日本中国料理協会 調理技術審査・技能検定地方試験委員 鈴木広明

麺料理で一番大事なのは、麺を箸で上げた時に蒸気とともにふわっと上がる香りだと思います。しかし、それが考えすぎていて、いろいろな香りや味がからみすぎていました。
見た目にはきれいですし、レベルは上がってきていますが、麺料理は丼一杯食べるものなので、最後まで飽きないで食べられるということが大事です。
作り手としては、手間暇かけて作ったスープは最後まで飲んでもらいたいと思います。食べ手が残すことなく最後まで飲めるスープを作るのは、とても大事なことです。その点、味がくどかったり、複雑になりすぎていると感じました。